「AI検索は実際にどれくらい使われているのか」——GEO対策を検討するとき、最初に確認すべきはこの問いです。 投資判断には市場の規模感が必要ですが、AI検索の利用率データは散在しており、全体像をつかみにくい状況があります。

この記事では、公開されている調査データをもとに、AI検索の利用率・市場シェア・年代別傾向を整理します。

検索エンジン市場におけるAI検索の現在地

まず、全体の検索エンジン市場におけるAI検索の位置づけを確認します。

Google検索の圧倒的なシェアは続いている

StatCounter(2025)のデータによると、世界の検索エンジン市場においてGoogleのシェアは約90%前後を維持しています。 Bingが約3〜4%、Yahooが約1〜2%という構成は、ここ数年大きく変わっていません。

ChatGPTやPerplexityは、StatCounterの検索エンジン分類では「その他」に含まれるか、そもそもカウントされていません。 理由は、ChatGPTやPerplexityの利用が従来の「検索エンジンでの検索行動」とは異なるカテゴリとして扱われることが多いためです。

AI検索の利用者数は急速に拡大している

検索エンジンの市場シェアには現れにくいものの、AI検索の利用者数は増加しています。

SimilarWeb(2025)のデータによると、ChatGPTの月間訪問数は2024年後半から2025年にかけて大幅に増加し、2025年初頭には月間25億回以上の訪問を記録しています。 Perplexityも月間数億回の訪問を記録しており、検索目的での利用が拡大しています。

ただし、これらの訪問のすべてが「検索」目的ではありません。 ChatGPTの利用にはコード生成、文章作成、翻訳など多様な用途が含まれます。

BrightEdgeが示すAI検索のトラフィック影響

BrightEdge(2025)は、AI検索がオーガニックトラフィックに与える影響を継続的に調査しています。

AI Overviewの表示率

BrightEdgeの調査によると、Googleの検索結果にAI Overview(AIによる要約回答)が表示される割合は、調査対象クエリの約30〜40%に達しています。 特に情報検索型のクエリ(「◯◯とは」「◯◯の方法」)では表示率が高く、購買検索型のクエリでは比較的低い傾向です。

AI検索経由のトラフィック

BrightEdgeのデータでは、AI検索(ChatGPT検索、Perplexity)経由のオーガニックトラフィックは全体の数%程度です。 絶対量としてはまだ小さいものの、前年比での成長率は数倍のペースで推移しています。

注意すべきは、AI検索経由のトラフィックは従来のオーガニックトラフィックとは性質が異なる点です。 AI検索の回答に引用された場合、ユーザーが実際にリンクをクリックする率(CTR)は、従来の検索結果のCTRよりも低いとされています。

年代別・地域別の利用傾向

AI検索の利用率は、年代や地域によって大きな差があります。

年代別の傾向

Pew Research Center(2024)の調査では、アメリカの成人のうちChatGPTを利用したことがある人の割合は以下のように報告されています。

若年層ほど利用率が高く、世代間で2〜4倍の差があります。 この傾向は、AI検索が今後の主要な情報取得手段になっていく方向を示唆しています。

検索目的に限定した場合、若年層ではGoogle検索の代わりにChatGPTやPerplexityを使う行動が定着しつつあるという指摘が複数の調査機関から出ています。

日本市場の状況

日本市場に限定した包括的なAI検索利用率データは、2025年8月時点では限定的です。 しかし、以下の傾向が観測されています。

日本のマーケティング担当者にとっては、英語圏のデータをそのまま適用するのではなく、自社のGA4データでAI検索からの流入を実測することが重要です。

検索行動の変化——何が起きているのか

AI検索の普及は、ユーザーの検索行動そのものを変えています。

クエリの長文化

従来のGoogle検索では、ユーザーは2〜4語のキーワードで検索する傾向がありました。 AI検索では、自然言語で質問を入力するため、クエリの平均文字数が増加しています。

「マーケティング ツール 比較」ではなく、「中小企業のマーケティング担当者が1人で運用できる月額5万円以内のMAツールはどれがいいか」のような具体的な質問になります。 この変化は、コンテンツ側にも「具体的な条件に対する具体的な回答」を求めます。

検索の起点が分散化

以前はほぼすべての検索がGoogleから始まっていましたが、現在は検索の起点が分散しています。

この分散は、SEO担当者が「Google検索だけ」を最適化しても、情報取得行動の全体をカバーできなくなっていることを意味します。

「調べ方」の変化が購買行動に影響する

BtoBの購買プロセスにおいて、情報収集段階でAI検索を使う担当者が増えています。 「◯◯ツールの評判」「◯◯サービスと△△サービスの違い」といったクエリをChatGPTやPerplexityに入力し、回答に含まれるブランドが検討候補に入るという流れです。

この段階でAIの回答に自社が含まれていなければ、検討候補にすら入らないリスクがあります。 従来のSEOで検索結果の2ページ目に表示されるのと異なり、AI検索では「回答に含まれるか、含まれないか」の二択になるためです。

Gartnerの予測とその読み方

Gartner(2024)は、「2026年までに従来の検索エンジンのトラフィックが25%減少する」という予測を発表しています。 この数字はしばしば引用されますが、注意点があります。

予測の前提条件

Gartnerの予測は、AI検索チャットボット、バーチャルエージェントの利用拡大を前提としています。 25%の減少は、検索エンジンの市場全体の話であり、個別のサイトへの影響は業種やコンテンツの種類によって大きく異なります。

業種による影響の差

情報検索型のクエリが主なトラフィック源であるサイト(メディア、情報サイト、ブログ)は、AI検索の影響を受けやすいと考えられます。 一方、トランザクション型のクエリ(「◯◯ 購入」「◯◯ 予約」)が主なECサイトや予約サイトへの影響は比較的小さいと予想されています。

予測を鵜呑みにしない

アナリストの予測は方向性の参考にはなりますが、具体的な数値を投資判断の根拠にするのはリスクがあります。 自社のGA4データで実際のAI検索からの流入を計測し、その推移をもとに判断することが重要です。

自社のAI検索トラフィックを計測する方法

AI検索の市場データを外部調査から把握したら、次は自社への影響を実測する番です。

GA4でのリファラー確認

GA4の「トラフィック獲得」レポートで、以下のドメインからの流入を確認します。

これらのリファラーからの流入数と推移を月次で記録します。

Perplexityでの引用確認

自社サイトに関連する主要クエリ(10〜20件)をPerplexityに入力し、自社サイトが引用されているかを手動で確認します。 この作業を月次で行い、引用状況の変化を記録します。

現時点では自動化されたモニタリングツールは限定的ですが、手動でもデータを蓄積することで、投資判断の材料になります。

計測を仕組みにする

月次のGA4確認と引用チェックを、担当者のタスクとしてルーティン化します。 スプレッドシートに記録し、3か月ごとにトレンドを確認する運用が現実的です。

この計測の仕組み化も含めて、コンテンツパイプラインの一部として設計・運用するのが、私たちのサービスのアプローチです。

まとめ

AI検索の利用率は、Google検索のシェアを大きく侵食する段階にはまだ達していません。 しかし、利用者数は急速に増加しており、特に若年層では検索行動の変化が始まっています。

BrightEdgeのデータではAI検索経由トラフィックは全体の数%ですが、成長率は高いペースで推移しています。 Gartnerの「25%減少」予測を鵜呑みにする必要はありませんが、自社のGA4データで実際の影響を計測し、トレンドを追い続けることが重要です。

外部データと自社データの両方を見ながら、GEO対策の投資タイミングと規模を判断していくことが、現時点での合理的なアプローチです。