GEO対策(LLMO対策・AI検索対策)を始めたいが、外注する予算がない。 そんな企業のために、自社で対応できるGEO対策の手順を解説します。
この記事では、内製で対応できる範囲のステップバイステップガイド、必要なツール、そして「ここからは外注すべき」という限界ラインを明確にします。
AI検索の成果データ
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| AI検索CVR(Go Fish Digital) | 従来検索の25倍 | Go Fish Digital, 2025 |
| AI検索CVR(Ahrefs) | 従来検索の9倍 | Ahrefs, 2025 |
| ChatGPT経由CVR(B2B) | 15.9%(Google Organic 1.76%の9倍) | Seer Interactive, 2025 |
| パイプライン創出(Chemours) | 9,800万ドル(引用率89%) | ABM Agency, 2025 |
自社でGEO対策を行うために必要なスキルとリソース
GEO対策を内製するために必要なスキルレベルと、1人あたりの月間工数の目安です。
| スキル | 必要レベル | 月間工数目安 |
|---|---|---|
| HTMLの基礎知識 | 初級(タグの意味がわかる程度) | — |
| JSON-LDの理解 | 初級(コピペして修正できる程度) | 2〜4時間 |
| CMS操作 | 中級(記事作成・テンプレート編集) | 10〜20時間 |
| Webライティング | 中級(構造的な文章が書ける) | 15〜30時間 |
| GA4の操作 | 初級(レポート閲覧・フィルタ設定) | 2〜3時間 |
Web担当者1名が月20〜40時間を確保できれば、基本的なGEO対策は内製で実施できます。 専門的なWeb開発スキルは必須ではありません。
必要なツール(すべて無料〜月5,000円以内)
GEO対策の内製に必要なツールはほぼ無料で揃います。
| ツール | 用途 | 費用 |
|---|---|---|
| ChatGPT(無料版) | AI検索での引用確認 | 0円 |
| Perplexity(無料版) | AI検索での引用確認 | 0円 |
| Google Search Console | 検索パフォーマンス分析 | 0円 |
| GA4 | アクセス解析 | 0円 |
| Schema Markup Validator | 構造化データの検証 | 0円 |
| Rich Results Test | リッチリザルトの確認 | 0円 |
| ChatGPT Plus | プロンプトによるコンテンツ改善 | 約3,000円/月 |
有料ツールは、ChatGPT Plusだけでも十分に始められます。
フェーズ1:現状把握と基盤整備(1〜2週間)
1-1. AI検索での引用状況を調査する
ChatGPTとPerplexityで、以下のクエリを検索してください。
- 自社名(「○○株式会社」)
- 自社サービス名・製品名
- 自社が狙うキーワード10語(「○○ 導入」「○○ 比較」など)
- 競合名
結果を以下の表にまとめます。
| クエリ | ChatGPT引用 | Perplexity引用 | 引用内容は正確か | 対策の必要性 |
|---|---|---|---|---|
| 自社名 | あり | あり | 古い情報あり | 情報更新 |
| サービス名 | なし | なし | — | 優先的に対策 |
1-2. robots.txtを確認・修正する
自社サイトのrobots.txt(https://自社ドメイン/robots.txt)を開き、AIクローラーのアクセスが許可されているか確認します。
以下のクローラーがブロックされていないことを確認してください。
- GPTBot(OpenAI)
- ChatGPT-User(OpenAI)
- PerplexityBot(Perplexity)
- ClaudeBot(Anthropic)
ブロックされている場合は、以下のように許可設定を追加します。
User-agent: GPTBot
Allow: /
User-agent: PerplexityBot
Allow: /
User-agent: ClaudeBot
Allow: /
1-3. サイトマップを確認する
XMLサイトマップ(https://自社ドメイン/sitemap.xml)が存在し、主要ページがすべて含まれていることを確認します。
WordPressであれば、Yoast SEOやRank Mathで自動生成されています。
フェーズ2:構造化データの実装(2〜3週間)
2-1. Organization schemaの実装
会社情報ページに、Organization schemaを追加します。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Organization",
"name": "自社名",
"url": "https://自社ドメイン",
"logo": "https://自社ドメイン/logo.png",
"description": "事業の概要",
"address": {
"@type": "PostalAddress",
"addressLocality": "○○市",
"addressRegion": "○○県",
"postalCode": "000-0000",
"addressCountry": "JP"
},
"contactPoint": {
"@type": "ContactPoint",
"telephone": "+81-XX-XXXX-XXXX",
"contactType": "customer service"
}
}
WordPressの場合、このJSON-LDをテーマのヘッダー(header.php)に追加するか、プラグインで設定します。
2-2. FAQPage schemaの実装
既存のFAQページ、またはサービスページの「よくある質問」セクションにFAQPage schemaを追加します。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "FAQPage",
"mainEntity": [
{
"@type": "Question",
"name": "質問文をここに記載",
"acceptedAnswer": {
"@type": "Answer",
"text": "回答文をここに記載"
}
}
]
}
FAQは最初に10〜20問を用意し、毎月5問ずつ追加していくのが効率的です。
2-3. 構造化データの検証
実装した構造化データは、Googleのリッチリザルトテスト(https://search.google.com/test/rich-results)で検証します。 エラーがないことを確認してから公開してください。
フェーズ3:コンテンツのGEO最適化(継続)
3-1. 既存記事の改修(月5〜10本)
GA4でオーガニック流入の多い記事から優先的に改修します。 改修のチェックリストは以下の通りです。
- 見出し(H2・H3)は内容を具体的に表しているか
- 各セクションの冒頭1〜2文で結論を述べているか
- 抽象的な表現を具体的な数値に置き換えたか
- 出典や根拠を明記したか
- 最終更新日を記載したか
- FAQ形式の質問-回答セクションはあるか
1記事あたりの改修時間は1〜2時間が目安です。
3-2. 新規記事の作成(月2〜4本)
GEO対策を前提とした新規記事を月2〜4本作成します。 記事作成時のポイントは以下の通りです。
- タイトルに検索クエリを含める(「○○とは」「○○の方法」「○○ vs △△」)
- 各セクションを「質問→回答」の構造にする
- 比較情報はHTML形式の表で整理する
- 具体的な数値と出典を含める
ChatGPT Plusを使えば、記事構成の立案とドラフト作成の工数を大幅に削減できます。 ただし、AIの出力は必ず事実確認と編集を行ってください。
3-3. AI検索からの流入計測
GA4で、AI検索サービスからの流入を計測する設定を行います。 以下のリファラーを追跡対象に追加してください。
- perplexity.ai
- chatgpt.com
- gemini.google.com
- copilot.microsoft.com
内製の限界ライン——外注を検討すべきタイミング
自社でGEO対策を進める中で、以下の状況になった場合は外注を検討してください。
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 月40時間以上のWeb工数を確保できない | 施策の実行スピードが遅くなり、競合に先行される |
| 構造化データの実装でエラーが解消できない | 技術的な知識が必要な領域 |
| 3か月対策しても引用状況が改善しない | 戦略の見直しが必要な可能性 |
| 競合が本格的にGEO対策を開始した | スピードで負けないために専門家の力が必要 |
| サイトの技術的な問題(SPA、動的レンダリング)がある | Web開発の専門知識が必要 |
外注する場合の費用相場は、GEO対策のコンサルティングで月15万〜40万円、コンテンツ制作を含めると月30万〜80万円程度です。
まとめ
GEO対策(LLMO対策・AI検索対策)は、Web担当者1名が月20〜40時間の工数を確保できれば、自社で始められます。 robots.txtの修正、構造化データの実装、既存コンテンツの改修という3つのフェーズで段階的に進めてください。
必要なツールはほぼ無料で揃い、月5,000円以内のコストで実施できます。 内製で対応できる範囲と限界を把握したうえで、必要に応じて外注を組み合わせるのが最も効率的なアプローチです。
参考文献
- Aggarwal et al. (2023). GEO: Generative Engine Optimization. arXiv:2311.09735
- Schema.org. Documentation and Examples
- Google Search Central (2024). Structured Data Documentation