AI検索経由のトラフィックが増えていると言われています。 しかし、多くのマーケティング担当者がGA4のレポートを見ても、AI検索からの流入がどこに分類されているのか分からないという状態にあります。

この記事では、ChatGPTやPerplexity、Geminiなど主要なAI検索からの流入をGA4で正しく識別・計測するための具体的な設定手順を解説します。 設定にかかる時間は約30分です。

なぜAI検索からの流入は見えにくいのか

GA4のデフォルト設定では、AI検索からのトラフィックを専用に分類するチャネルが存在しません。 その結果、AI検索からの流入は「Organic Search」「Referral」「Direct」のいずれかに分散して計上されます。

具体的に、主要なAI検索サービスごとに流入がどう分類されるかを整理します。

ChatGPTからの流入

ChatGPTがWeb検索結果を表示する際、リンクのクリックにはリファラーが付与されます。 ただし、リファラーの形式は chat.openai.comchatgpt.com となり、GA4のデフォルトチャネル定義では「Referral」に分類されます。

一方、ChatGPTの回答テキスト中のリンクをユーザーがコピーして直接アクセスした場合はリファラーが付かず、「Direct」に計上されます。 この2パターンが混在するため、ChatGPT経由の正確な流入数を把握するのは簡単ではありません。

Perplexityからの流入

Perplexityは回答中に引用元リンクを明示的に表示します。 リファラーは perplexity.ai として付与されるため、GA4では「Referral」に分類されます。

比較的追跡しやすいAI検索サービスですが、デフォルトではReferral全体に埋もれてしまいます。 個別に抽出するにはカスタム設定が必要です。

GoogleのAIオーバービューからの流入

GoogleのAIオーバービュー(SGE)経由のクリックは、通常のGoogle検索と同じリファラー(google.com または google.co.jp)を返します。 そのためGA4では「Organic Search」に分類され、通常の検索流入と区別がつきません。

これがAI検索トラフィック計測の最大の盲点です。 AIオーバービュー経由かどうかをGA4だけで判別する標準的な方法は、現時点では存在しません。

AI検索リファラーの一覧を把握する

設定を始める前に、主要なAI検索サービスのリファラードメインを整理しておきます。 以下が2025年時点で把握すべき主要なドメインです。

このリストは今後も増えていきます。 四半期に一度はリストを見直し、新しいAI検索サービスのドメインを追加する運用が必要です。

GA4でカスタムチャネルグループを設定する

GA4では、デフォルトのチャネルグループに加えて「カスタムチャネルグループ」を作成できます。 ここに「AI Search」という新しいチャネルを追加することで、AI検索からの流入を一括で追跡できるようになります。

手順1:管理画面を開く

GA4の管理画面にアクセスし、左下の歯車アイコンから「管理」を開きます。 「データの表示」セクションにある「チャネルグループ」をクリックします。

手順2:カスタムチャネルグループを新規作成する

「カスタムチャネルグループを作成」をクリックします。 グループ名は「AI Search Tracking」など、用途が分かる名前を付けます。

デフォルトチャネルグループの定義がコピーされた状態で作成されるため、既存のチャネル定義はそのまま残ります。 ここに新しいチャネルを追加します。

手順3:「AI Search」チャネルを追加する

「新しいチャネルを追加」をクリックし、チャネル名を「AI Search」とします。 条件の設定では、以下のルールを追加します。

この正規表現で、主要なAI検索サービスからの流入をすべて捕捉できます。

手順4:チャネルの優先順位を調整する

GA4のチャネルグループでは、上にあるチャネルの条件が優先されます。 「AI Search」チャネルは「Organic Search」や「Referral」よりも上に配置してください。

これにより、AI検索ドメインからの流入が「Organic Search」や「Referral」に分類される前に「AI Search」として捕捉されます。 ドラッグ&ドロップで順序を変更できます。

手順5:保存して反映を確認する

設定を保存します。 カスタムチャネルグループは保存直後から新しいデータに適用されますが、過去のデータには遡及されません。

設定後、1〜2日待ってからレポートを確認し、「AI Search」チャネルにデータが入っているかを確認します。

個別のAI検索サービスを区別する方法

前述の設定ではAI検索を一括で捕捉しますが、ChatGPTとPerplexityの流入を別々に見たいケースもあります。 その場合は、チャネルを分割して設定します。

具体的には、以下のように個別チャネルを作成します。

この方法であれば、どのAI検索サービスからの流入が多いかを比較分析できます。 サービスごとのユーザー行動の違い(直帰率、滞在時間、コンバージョン率)も把握しやすくなります。

探索レポートでAI検索トラフィックを分析する

カスタムチャネルグループを設定しただけでは、深い分析はできません。 GA4の探索レポートを使って、AI検索トラフィックの詳細を掘り下げます。

設定する探索レポートの構成

「探索」から「自由形式」を選択し、以下のディメンションと指標を設定します。

ディメンション:

指標:

分析で見るべきポイント

このレポートから、以下の観点で分析します。

AI検索からのランディングページの傾向を確認します。 どのページがAI検索で引用されやすいかが分かれば、GEO施策の優先順位を決める材料になります。

エンゲージメント率をOrganic Searchと比較します。 AI検索経由のユーザーは、すでにAIの回答で概要を把握した状態でサイトを訪問するため、ページ滞在時間やエンゲージメント率に違いが出ることがあります。

コンバージョン率の比較も重要です。 AI検索経由の流入がビジネス成果につながっているかどうかを定量的に把握できます。

UTMパラメータを活用する

GA4のリファラー分析だけでは捕捉しきれないケースに対応するため、UTMパラメータを併用します。 特に、自社コンテンツがAI検索の回答に引用された際のリンクにUTMを付与できるケースで有効です。

自社サイト内リンクへのUTM付与

AI検索は、ページ内のリンクをそのまま引用することがあります。 そのため、自社サイト内で参照されやすいリンク(例:ホワイトペーパーのダウンロードページ、事例ページ)にUTMパラメータを付けたURLを記載しておく方法があります。

ただし、これはAI検索がそのURLをそのまま引用した場合にのみ有効です。 AI検索が独自にURLを生成する場合は機能しないため、補助的な手段として位置付けます。

UTMパラメータの命名規則

AI検索トラフィックのUTMパラメータには、一貫した命名規則を適用します。

命名規則をチーム内で統一しておかないと、レポートでの集計時に表記揺れが発生します。 ドキュメントに命名規則を記載し、チーム全員が参照できるようにしておきます。

Looker Studioでダッシュボードを作成する

GA4の探索レポートは分析には向いていますが、定期的なモニタリングにはダッシュボードが便利です。 Looker Studio(旧データポータル)でAI検索トラフィック専用のダッシュボードを構築します。

含めるべき指標

ダッシュボードには以下の指標を含めます。

更新頻度

GA4のデータはLooker Studioに自動で反映されるため、ダッシュボード自体の更新作業は不要です。 ただし、新しいAI検索サービスが登場した場合はGA4のチャネル定義を更新する必要があります。

月次でダッシュボードを確認し、四半期ごとにチャネル定義のメンテナンスを行うサイクルを推奨します。

計測の限界を理解する

GA4の設定だけでは捕捉できないAI検索トラフィックが存在します。 この限界を正しく理解した上で、計測できる範囲で最大限のデータを収集することが重要です。

AIアプリ内ブラウザからのアクセスはリファラーが付かず「Direct」に分類されることがあります。 Directトラフィックの月次推移を確認し、AI検索の普及時期と重なる増加がないかを補助的に確認します。

GoogleのAIオーバービュー経由のクリックは通常のOrganic Searchと区別がつきません。 Search Consoleで表示回数が維持されているのにCTRが低下しているクエリを抽出し、AIオーバービューの影響を間接的に推定します。

AI検索サービスのドメイン変更にも注意が必要です。 ChatGPTが chat.openai.com から chatgpt.com に移行したように、定期的にリファラーレポートを確認し、チャネル定義を更新する運用を維持してください。

設定後のチェックリスト

この記事で解説した設定が完了しているかを確認します。

計測できるものを計測し、できないものは推定する。この割り切りが、AI検索トラフィック分析の出発点です。